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結論から言うと、春菊は**「秋まきなら、種まきから約1か月半〜2か月で収穫できる、育てやすい葉もの野菜」**です。ただし、発芽から本葉が出そろうまでは霜に弱いため、種まきの時期と、寒さへの備えが成否を分けます。種まきは10月下旬までを目安に、土づくり(酸性に弱いので石灰を)と、発芽までの乾燥対策をしっかり行いましょう。
この記事では、農林水産省の野菜栽培技術指針(葉茎菜類)にある春菊の栽培方法をもとに、家庭菜園でも使える考え方に整理しました。公的資料の内容と、家庭菜園での一般的なやり方は、少し違う部分があります。その点も、区別して書いています。
春菊は、キク科の葉もの野菜です。農林水産省の技術指針では、酸性の土に弱いこと、発芽から本葉が展開するまでは霜に弱いことが示されています。
| 項目 | 内容(農林水産省の技術指針より) |
|---|---|
| 科 | キク科 |
| 土質 | ほとんどの土質で栽培できる |
| 酸度 | 酸性に弱い。pH5.5以下の場合は、石灰を施して矯正する |
| 寒さ | 発芽から本葉が展開するまでは霜に弱い |
| 作型(ハウス栽培) | 春まき(3月中旬〜5月中旬)、夏まき(6月上旬〜8月上旬)、秋まき(8月下旬〜10月下旬) |
指針は、ハウス栽培が中心の資料です。露地(畑)での家庭菜園では、地域の気温や霜の時期に合わせて、種まきの時期をずらす必要があります。川西市周辺のような、冷え込みのある内陸部では、霜が降りる前に、苗がしっかり育っているかを意識して、時期を決めましょう。
指針には、作型ごとの課題が次のように示されています。
家庭菜園では、気温が穏やかな秋に種をまく方法が、扱いやすいとされます。ただし、秋まきでも、病害の対策が必要です。
指針には、土壌改良について、次のように書かれています。
つまり、種まきの2週間前までに、堆肥と苦土石灰をまいて、よく耕しておくのが基本の流れです。10月下旬に種をまく予定なら、10月中旬のうちに準備を始めるのがよいでしょう。
土のpHを測る方法と、石灰の種類については、既存の記事「家庭菜園の土壌診断、pH測定と改良方法」で詳しく整理しています。堆肥の使い方は、「家庭菜園の土づくり、堆肥・腐葉土の使い方」を参考にしてください。
指針では、畝の幅は120cmの平畝(通路30cmほど)で、種まき前に十分に水をまくと示されています。家庭菜園では、作業しやすい幅の平畝(目安:幅60〜90cm程度)に、条まきにする方法が使われます。畝の幅は、手が届く範囲で、決めましょう。
指針の種まきの方法は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 条間 | 10〜15cmで条まき |
| 厚まき・薄まき | 春先と秋の低温期は厚めに、高温時は薄めにまく |
| 覆土 | 種が隠れる程度。発芽がそろうまで、寒冷紗などをかける |
| 浸種 | 種を水に浸して、あく抜きをすると、発芽がそろいやすい。種皮が軽く裂ける程度まで。春・秋は2日程度 |
春菊の種は、水を吸いにくい性質があるため、水に浸してから播くと、発芽が揃いやすくなります。浸種した種は、乾燥させず、すぐにまきましょう。
指針では、発芽が揃うまでは時間がかかるため、乾燥しないように適宜水をやり、土壌の水分を適度に保つと示されています。
発芽までは、毎日の様子を見てあげることが大切です。
発芽したあとは、混み合った部分を間引いて、風通しを良くします。指針に示されている間引きの目安は、次のとおりです。
| 時期 | 株の間隔の目安(指針より) |
|---|---|
| 本葉2〜3枚のとき | 3〜4cm間隔 |
| 本葉7〜8枚のとき | 5〜6cm間隔 |
| 最終的な株数 | 1㎡あたり110〜200株(密植の場合) |
間引いた若い葉は、そのまま食べられる場合があります。家庭菜園では、株の大きさや、収穫のしかたに合わせて、間隔を調整してください。
指針では、100㎡あたりの基肥の例として、堆肥200kg、苦土石灰20kg、ようりん6kg、化成肥料6〜10kgが示されています。これは、専業の栽培を想定した量です。家庭菜園では、面積に応じて換算し、肥料のパッケージの表示を参考にしてください。
追肥や肥料の与え方の基本は、既存の記事「家庭菜園の追肥のタイミングと量の目安」にまとめています。肥料を入れすぎると、生育不良の原因になることもあるため、少なめから始めて、様子を見ましょう。
| 項目 | 内容(農林水産省の技術指針より) |
|---|---|
| 収穫の開始 | 草丈15〜20cmに達したとき |
| 日数の目安 | 種まきから35日程度(夏)。春先や晩秋は45〜50日程度かかる |
| 収穫のしかた | 株を抜き取る(抜き取り栽培) |
指針は、根付きのまま株を抜き取って収穫する方法を前提としています。家庭菜園では、外側の葉や、わき芽を摘み取りながら、長く収穫する方法も、一般的に行われています。この方法は、公的資料の抜き取り栽培の指針には書かれていないため、品種や育ち具合に合わせて、試してみてください。
収穫のタイミングが遅れると、茎が硬くなったり、とう立ちしたりする場合があります。草丈の目安に達したら、早めに収穫しましょう。
指針に挙げられている主なものは、次のとおりです。
| 名前 | 症状と対策(指針より) |
|---|---|
| べと病 | 発芽の始めに発生し、葉が退色してくる。病斑部は淡く黄化し、表面に白色の霜状のカビを生じる。発病した株は直ちに抜き取り、畑の外に深く埋め込むか、焼却する |
| 炭疽病 | 初めは水に濡れたような小さな斑点が生じ、のち円形となり、灰褐色に変わる。密植を避けて風通しを良くし、排水を良くして高畝にする |
| 心枯れ症(カルシウム欠乏) | 葉の縁や新葉を中心に、黄白色になる。予防として、生育中期から後期に、カルシウム資材を葉面散布する |
連作障害については、「連作障害とは?家庭菜園での基本の対策と輪作のコツ」の記事を参考にしてください。農薬を使うかどうかは、お住まいの地域のルールと、製品のラベルを確認して判断してください。この記事では、特定の製品名はあげません。
指針には、「発芽から本葉展開までは霜に弱い」とあります。ハウス栽培では、春先と晩秋の低温時には、5℃以上を確保できるように、トンネルや二重カーテンなどで保温することが示されています。
露地栽培の家庭菜園では、次のような方法が考えられます。
次の表は、秋まきの一例です。地域の気温や、品種によって調整してください。
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 種まきの2週間前 | 堆肥と苦土石灰をまいて、深く耕す |
| 種まきの1週間前 | 畝を立てて、水をまく |
| 種まきの前日〜当日 | 種を水に浸す(浸種) |
| 種まき〜発芽まで | 条まき、軽く覆土、寒冷紗などをかけ、乾燥させない |
| 発芽後 | 本葉2〜3枚で3〜4cm、7〜8枚で5〜6cmに間引く |
| 種まきから約45〜50日 | 草丈15〜20cmで収穫開始(晩秋は日数がかかる) |
Q. 春菊は、今からでも種まきできますか?
農林水産省の指針では、ハウス栽培の秋まきは、8月下旬から10月下旬が目安とされています。露地では、地域の気温によって異なります。川西市周辺であれば、10月中なら、まだ間に合う場合がありますが、霜の時期を考え、不織布などで保護すると安心です。
Q. 種が発芽しません。
春菊の種は、乾燥しやすく、水を吸いにくい性質があります。浸種をする、覆土を薄くしすぎない、発芽までに土を乾かさない、といった点を見直してください。気温が低すぎると、発芽が遅れることもあります。
Q. プランターでも育てられますか?
条まきで育てることができます。深さは十分に確保し、水やりと、風通しに気を配ってください。プランターの大きさや土の量は、製品や環境によって異なります。
Q. 葉の色が、黄色っぽくなりました。
原因は、肥料不足、カルシウム不足(心枯れ)、病気、水の過不足などが考えられます。新しい葉の縁が黄白色になる場合は、カルシウム欠乏の可能性があります。ほかの症状とあわせて、原因を確認しましょう。
Q. 収穫は、抜き取りと摘み取りのどちらがいいですか?
農林水産省の指針は、抜き取り栽培を前提にしています。家庭菜園では、摘み取りながら長く収穫する方法も、一般的に行われます。品種や、育ち具合で、向き不向きがありますので、試しながら判断してください。
Q. 春菊の後に、何を植えればいいですか?
春菊はキク科の野菜です。同じキク科(レタスなど)を続けて栽培するのは避け、別の科の野菜を計画するとよいでしょう。作付けの考え方は、別の記事でも整理しています。
Q. 虫や病気を防ぐ方法はありますか?
密植を避ける、風通しと水はけを良くする、発病した株をすぐに取り除く、といった、耕種的な予防が基本です。農薬を使う場合は、製品のラベルの対象作物と使用方法を必ず確認してください。
秋の畑で、短い期間で収穫できる春菊は、初めての方にも向いています。ぜひ、種まきから、育てる様子を楽しんでください。