タマネギは「肥料を入れすぎると失敗する」珍しい作物。追肥のタイミング・量・管理方法を誤ると、葉ばかり育って玉が太らなかったり、トウ立ちしたりします。貸し農園歴10年の山ちやんが、実体験にもとづく“間違いない追肥テクニック”をまとめました。
はじめに:タマネギは「肥料控えめ」が成功の鍵
タマネギの栽培は、他の野菜とは真逆で「肥料をあげすぎると逆に育たない」作物です。ぼくは最初の頃、他の野菜と同じ感覚で肥料を多めに入れてしまい、
- 葉ばかり巨大化
- 春にトウ立ち
- 玉が全然太らない
という“大失敗”を経験しました。
この記事では、10年育ててきてたどりついた「本当に効果のある追肥方法」を、シンプルに解説していきます。
【1】追肥の回数は“たったの2回”|これ以上は逆効果
タマネギは追肥の回数が少なくて済む作物です。
■ 正しい追肥の回数
- ① 2月中旬(生育前のスイッチ)
- ② 3月上旬(最終仕上げ)
※3回目以降は絶対にやらない。
追肥のやりすぎは葉が暴れてトウ立ちの原因になります。
特に暖冬の年は葉の成長が早く、追肥の量を少なくしたほうが安定します。
【2】追肥の量は“ひとつまみ”で十分|少なすぎるくらいが丁度いい
タマネギの追肥量は驚くほど少なくてOKです。
■ 具体的な量
片手でつまんだ化成肥料(5g程度)を、株の横にまく。
これだけで十分育ちます。
肥料を多くまくと、葉が徒長して倒れやすくなります。
ポイント:
- 株に直接かけない(根を傷める)
- 株間に軽く置くだけで良い
- マルチ栽培なら穴の横に軽く入れる
本当に“つまむ程度”が正解です。
【3】3月下旬〜4月は追肥禁止|この時期の肥料はトウ立ちの原因
春本番になって葉が伸びてくると、ついつい肥料をあげたくなりますが――。
この時期の追肥は100%逆効果。
理由は3つ:
- ① 温度上昇で葉が伸びやすい
- ② 肥料が効きすぎて暴れる
- ③ トウ立ちリスクが一気に増える
葉が大きければ大きいほど良い、と思われがちですが、タマネギは“葉より玉のバランスが大事”です。
【4】肥料ではなく「環境」を整えるのがタマネギ流の管理
タマネギは、肥料よりも環境のほうが収穫に直結します。
■ 管理の基本
- マルチで湿気と泥はねを防ぐ
- 高畝にして排水を良くする
- 雑草を根元から抜く(養分を奪わせない)
- 風通しを良くする(密植しない)
- 植え付け深さ3cmを守る
肥料でごまかそうとすると失敗しやすい。
タマネギは「環境>肥料」の作物です。
【5】生育が遅れている株への対処法|部分追肥という裏技
全体は良いのに「この株だけ小さい」という時があります。
そういう場合は、次の方法が効果的です。
■ 部分追肥の方法
- 小さい株の横にだけ、米粒1〜2粒ほどの量の肥料を置く
- 土を軽く寄せておく
- 肥料は全体にはまかない
これで遅れ株がスッと追いつきます。
ただし、肥料はあくまで“少量だけ”です。
【6】追肥よりも大事なのが「浮き上がりチェック」
冬〜早春は霜柱の影響で苗が浮き上がることがあります。
浮いたままだと根が切れて肥料を吸えません。
■ チェック方法
- 指で軽く株元を押す
- 土と根を密着させる
- 特に12〜2月は必ず確認する
どれだけ肥料を正しく与えても、根が浮いていたら意味なし。
【7】肥料が多いと“病気”が増える|ベト病・軟腐の原因にも
肥料の与えすぎは、病気の発生率を押し上げます。
■ 発生しやすくなる病気
- ベト病(葉が黄変)
- 灰色かび病
- 軟腐(玉が溶ける)
特に窒素(チッソ)が多いと一気にリスクが上がるので、追肥は“足りないくらい”が正解です。
【8】4月以降は“観察だけ”が仕事|肥料は触らない
春に入ってくると、毎週のように玉が肥大していきます。
この時期は fertilizing(施肥)ではなく、monitoring(観察)が仕事です。
■ 4月〜収穫前のチェックポイント
- 葉が折れていないか
- 病気の症状が出ていないか
- 雑草が畝の穴から生えていないか
- マルチが破けていないか
この時期の肥料は“毒”になります。絶対に追肥しないこと。
まとめ:タマネギは「少ない肥料で育つ」作物。追肥は慎重に!
追肥は単純に見えて、実はタマネギ栽培の成否を左右する重要ポイントです。
今回解説した内容をもう一度整理すると──
- ✔ 追肥は2月・3月の“2回だけ”
- ✔ 量はたったのひとつまみ
- ✔ 4月以降は追肥しない
- ✔ 生育の遅れは“部分追肥”で補う
- ✔ 根が浮いていたら肥料が効かない
- ✔ 肥料過多は病気の原因になる
- ✔ タマネギは「環境>肥料」
タマネギは、一見素朴な作物に見えてとても奥が深い。でも、コツさえ押さえれば必ず応えてくれます。
あなたの畑で立派なタマネギが育ちますように!


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