貸し農園×ベランダ栽培──どちらも経験してきた山ちやんが、
「タマネギ栽培で本当に必要なこと」だけを一冊にまとめました。
初心者から中級者まで役立つ“失敗しないための完全保存版”です。
- はじめに:タマネギは「準備8割・管理2割」で決まる作物
- 【STEP1】土づくり|タマネギは「湿気に弱い」=土づくりが最重要
- 【STEP2】苗選び|“細すぎず太すぎない”中苗が最強
- 【STEP3】植え付け|深さ3cm・株間15cmが黄金バランス
- 【STEP4】根付きアップ術|“最初の1〜2週間”が勝負
- 【STEP5】追肥|「2月・3月の2回だけ」それ以外は逆効果
- 【STEP6】冬の管理|霜柱と風だけ注意すればOK
- 【STEP7】春の管理|葉の太さ=玉の太さ
- 【STEP8】病気対策|湿気と密度を減らすだけで8割防げる
- 【STEP9】輪作|タマネギは連作NG、3年以上空けるのが理想
- 【STEP10】収穫|葉が倒れてから「1週間後」が最適タイミング
- 【STEP11】貯蔵|乾燥・風通し・涼しさの3要素がすべて
- 【STEP12】ベランダ栽培のポイント|畑より簡単な部分も多い
- 【まとめ】タマネギは“準備×観察×控えめ肥料”で必ず成功する
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はじめに:タマネギは「準備8割・管理2割」で決まる作物
タマネギは6〜8か月という長期栽培のわりに、
やること自体は驚くほどシンプルな野菜です。
しかし、油断すると──
- しっかり植えたつもりが霜で浮く
- 葉ばかり伸びて玉が太らない
- 追肥しすぎてトウ立ち
- 病気(ベト病・灰色かび)が出る
- 収穫後に腐ってしまう
など、“長期戦ならではの落とし穴”が多いのも事実。
ぼくは都市型のベランダ栽培からスタートし、
2016年から貸し農園で露地栽培に挑戦してきましたが、
10年育てて分かった結論は「最初の2ヶ月が勝負」です。
この完全版では、
苗選び → 土づくり → 植え付け → 管理 → 追肥 → 病害 → 収穫 → 保存
の流れをすべてひとまとめにして分かりやすく解説します。
【STEP1】土づくり|タマネギは「湿気に弱い」=土づくりが最重要
■ 基本の土づくり(10月上旬〜中旬)
- 苦土石灰 … 100g/㎡
- 堆肥 … 2kg/㎡
- 元肥 … 50g/㎡以下(控えめに)
- 畝の高さ … 15〜20cm(高畝必須)
- 黒マルチ … 必ず張る
タマネギは「水はけが悪い土」「窒素過多」で一気に弱ります。
特に貸し農園の土は場所によってクセが強いので、高畝とマルチで環境を整えておくことが成功のカギ。
※プランターの場合:
市販の野菜用培養土100%でOK。追加の堆肥は不要。
【STEP2】苗選び|“細すぎず太すぎない”中苗が最強
■ 良い苗の条件
- 太さ:鉛筆より少し細い
- 長さ:20〜25cm
- 白い部分がしっかりしている(充実)
- 葉が折れていない・黄変していない
■ NG苗
- 太すぎる → トウ立ちしやすい
- 細すぎる → 寒さで枯れる
苗選びはタマネギ栽培で最重要と言っても過言じゃありません。
畑でもベランダでも、苗の質がそのまま収穫量になります。
【STEP3】植え付け|深さ3cm・株間15cmが黄金バランス
■ 最適な植え付け深さ
白い部分が隠れる程度(約3cm)
- 深すぎる → 玉が太らない原因に
- 浅すぎる → 霜柱で抜ける
■ 株間と条間
- 株間:15cm
- 条間:30cm
タマネギは密植すると風通しが悪くなり、
春先にベト病が一気に広がります。
“ゆったり植える”ことが健康な株づくりの最初のステップ。
■ 植え付けのコツ(露地・ベランダ共通)
- 苗はまっすぐ立てる(寝かせない)
- 植えた後、指で軽く押さえて固定
- 植え付け直後にだけ水やりする
【STEP4】根付きアップ術|“最初の1〜2週間”が勝負
■ 根付きアップの3つの方法
- 1. 風よけに寒冷紗をふんわりかける(1〜2週間)
- 2. 霜柱期は「浮き上がりチェック」を毎週
- 3. 葉が倒れないか観察(根の固定確認)
タマネギの植え付け失敗は、
ほぼ“根付き不良”が原因です。
ここさえクリアすれば、春までほぼ何もすることはありません。
【STEP5】追肥|「2月・3月の2回だけ」それ以外は逆効果
タマネギは肥料を入れすぎると失敗します。
追肥はあくまで“軽くスイッチを入れる程度”で十分。
■ 追肥の回数
- ① 2月中旬:ひとつまみ
- ② 3月上旬:ひとつまみ
■ やりすぎると起こる失敗
- トウ立ちが増える
- 葉ばかり巨大化する
- 病気(ベト病)が発生しやすい
4月以降の追肥は絶対NG。
暖かくなると肥料が効きすぎて暴れます。
【STEP6】冬の管理|霜柱と風だけ注意すればOK
タマネギは寒さに強いため、冬はほぼ放置で育ちます。
■ 冬(12~2月)のやること
- 霜柱で浮き上がっていないか確認
- 雑草を抜く(栄養を奪われないため)
- ベランダはプランターを浮かせる(冷え対策)
葉先が枯れるのは自然な反応なので心配不要です。
【STEP7】春の管理|葉の太さ=玉の太さ
春(3〜4月)はタマネギが一気に肥大するタイミング。
この時期の観察が、収穫量に直結します。
■ チェックポイント
- 葉がしっかり太いか
- 葉の色が薄くないか(肥料不足)
- ベト病の症状が出ていないか
- 倒伏していないか
春は“見るだけで育つ”と言われるほど、
追肥より観察のほうが重要です。
【STEP8】病気対策|湿気と密度を減らすだけで8割防げる
■ よく出る病気
- ベト病
- 灰色かび病
- さび病
- 根腐れ(白色疫病)
■ 病気を防ぐ方法
- 高畝にする
- 黒マルチで湿気と泥はねを防ぐ
- 株間を15cm空けて風通しを確保
- 肥料を控えめに(窒素過多NG)
- 早期発見で病葉を切り取る
病気は、発生してからの対処より
「発生させない環境づくり」が最優先。
【STEP9】輪作|タマネギは連作NG、3年以上空けるのが理想
■ 相性の良い前作
- 豆類(エダマメ・ソラマメ)
- キュウリ・カボチャ・ウリ科
- サツマイモ
■ 相性の悪い前作(NG)
- ニンニク
- ネギ・ワケギ
- タマネギ(連作)
同じネギ類の後に植えると、病気が一気に増えます。
【STEP10】収穫|葉が倒れてから「1週間後」が最適タイミング
■ 収穫の目安
- 葉が自然に倒れる
- 首(葉の付け根)が細くなる
- 晴れの日を選ぶ(雨天収穫NG)
すぐ抜くと首が太く、貯蔵性が低下します。
「倒伏から1週間」は絶対に守りたい黄金ルール。
■ 収穫方法
- 根元の土を軽く崩す
- ゆっくり引き抜く
- 畝の上で半日乾燥
【STEP11】貯蔵|乾燥・風通し・涼しさの3要素がすべて
タマネギは育てるより「貯蔵のほうが難しい」と言われるほど。
■ 乾燥方法
- 畑で半日〜1日乾燥
- 軒下や風通しの良い場所で1〜2週間干す
■ 葉と根の切り方
- 葉 … 3〜5cm残す
- 根 … 1cm残す
■ 保存場所の条件
- 直射日光が当たらない
- 風通しが良い
- 涼しい(夏は注意)
■ 保存向きの品種
- ネオアース
- もみじ3号
- ターザン
赤タマネギは保存が苦手なので早めに食べましょう。
【STEP12】ベランダ栽培のポイント|畑より簡単な部分も多い
タマネギはベランダでもしっかり育ちます。
■ ベランダ専用の注意点
- プランターは60cmで8株まで
- 市販培養土100%で十分
- 冬の冷え込みが強いので台に乗せて断熱
- 風対策が必須(倒伏しやすい)
- 乾燥気味でOK、水のやりすぎ厳禁
ベランダは環境を管理しやすいので、
むしろ初心者には向いていると感じます。
【まとめ】タマネギは“準備×観察×控えめ肥料”で必ず成功する
タマネギ栽培は難しそうに見えて、
実はコツさえ押さえれば失敗が極端に減ります。
■ この完全版のポイントまとめ
- ✔ 土づくりは高畝&マルチで湿気対策
- ✔ 中苗が最大の成功ポイント
- ✔ 深さ3cm、株間15cmを守る
- ✔ 冬は根の浮き上がりチェックだけでOK
- ✔ 追肥は2回だけ、控えめで十分
- ✔ 病気は“環境づくり”で8割防げる
- ✔ 収穫は葉倒れ1週間後
- ✔ 貯蔵は風通しと乾燥が命
- ✔ ベランダでも十分育つ
タマネギは、長期間見守る“育て甲斐のある作物”。
あなたの畑でも、あなたのベランダでも、
今年はぜひ、この完全版を参考に大玉タマネギを収穫してください。
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